改定後の日商簿記試験2級 問題別の受験テクニック・心構え

 先日、日商簿記2級に合格したので、問題別の受験テクニックについて多くの人の役立つよう書いていきたい。

 

 初めに、最近の日商簿記試験2級の傾向について話す。結論から言えば、日商簿記試験2級は以前より難しくなった。日商簿記試験の合格率は以下の通り。

148回(2018年2月)  29.6%

149回(2018年6月)  15.6%

150回(2018年11月) 14.7%

151回(2019年2月)  12.7%

 

https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2

 

 148回の29.6%を最後に20%を下回る状況が続いている。当初は出題範囲が拡大しただけで難化したわけではないというのが、商工会議所と簿記予備校の共通見解だった。しかし前回151回の第3問を多くの予備校講師が批判するなど混乱が続いている。

 

 この合格率をどう考えればよいのか?例えば151回の合格率は12.7%なのだが、その受験者の中に149回・150回で合格を逃し、その間ほぼ1年勉強し続けた人がいると考えると、この12.7%という数字がいかに過酷かわかってもらえるのではないか。

 

 なぜここまで合格率が低下したかというと、一つの試験のなかで少なくとも1問はこれまで出題されたことのない形式の問題を出題するようになったからである。149回では第2問で外貨建取引、第3問で本支店会計、150回では第2問で税効果会計連結会計、そして151回では第3問で子会社間取引のある連結会計を出題するなど、受験者の意表をつくような出題が続いている。

簿記2級の受験テクニック

 それでは簿記2級が難化したという前提で、簿記2級の受験テクニックについて書く。

 

 ①工業簿記(第4問・第5問)は満点を目指す

 どこの予備校講師も言ってることだが、工業簿記で満点(40点)を目指さなければ合格は難しい。工業簿記は商業簿記と違って出題範囲が増えていない。また出題傾向も安定しているため点数が稼ぎやすい。ここで満点を取って商業簿記で30点以上を目指すのが最も合理的な戦略ではないだろうか。これから簿記2級の学習を始める人には工業簿記から学習することをすすめる。また試験の際も工業簿記から解き始めるのが良いのではないか。

 

②第2問は難問でなければ高得点を目指す

 第2問で出題される銀行勘定調整表・株主資本等変動計算書は出題のされ方がワンパターンで新範囲が絡む可能性も低いため高得点が狙える。一方、固定資産や有価証券はリース会計や税効果会計に関連した問題が出る可能性があるため高得点を狙うよりも解けないと分かった時点であきらめて別の問題に取り組むのが良い。また149回で出題された外貨建取引の問題は計算が複雑で時間がかかった。外貨建取引と分かった時点で後回しにして他の問題を解くという手もある。

 

③第1問と第3問は運(笑)!部分点を確実に取る

 第1問は仕訳を書くだけなので簡単に思えるかもしれない。しかし、この第1問には罠が多い。ちょっとした勘違いで2,3問落とすこともありうる。解ける問題で確実に得点することが重要だ。そして第3問は自分が勉強した範囲が出るように神に祈ろう。もっとも簡単な精算表ならラッキーだが、貸借対照表損益計算書だと少し複雑になる。本支店会計や連結がでたらパニックになるという人もいるかもしれない。そういう時は「取れる部分だけでも取ればいいや」という考え方でOKだ。第3問はパーフェクトを目指すより部分点を稼ぐことが重要である。

 

まとめ

 というわけで、日商簿記試験2級を合格したいなら受験時に次のようなことを心がけるといい。

  • 第4問と第5問の工業簿記で満点を目指す
  • 第2問で銀行勘定調整表・株主資本等変動計算書が出たら満点を目指す
  • 第2問で固定資産や有価証券が出て難しい問題が出たらあきらめて別の問題を解く
  • 第2問で外貨建取引など複雑な計算が絡む問題が出たら後回しにする
  • 第1問、第3問は運の要素が大きいので満点より部分点を狙おう