映画『ノロイ』のサスペンス分析メモその1
今回は下の記事に書いたような方法で、映画『ノロイ』のサスペンス分析を行った。
シーン1の出来事、情報
- 封印されたビデオの存在。
- 小林の人物紹介。
- 『ノロイ』ができるまでの経緯。
- 小林家の火災。
- 小林の妻の死。
- 小林の失踪。
サスペンス一覧
シーン2の出来事、情報
小林は都内の一軒家に住むある家族のもとを訪れる。母親によると2・3か月前から隣家から幼児の鳴き声が聞こえるという。小林は隣家を訪れるが、現れた女に罵られ取材を拒否される。その場を去ろうとしたとき、隣家の窓から小林の方を見ている少年がカメラに映る。この時に聞こえた異音を解析すると人間の幼児の鳴き声だと分かる。
サスペンス一覧
- 幼児の声はだれの声なのか。
- 隣家の女はなぜ怒っているのか。
- 窓から小林を見ていた子どもは誰なのか。→(予想)隣家の女の子供?
- なぜ子どもは小林を見ていたのか。
シーン3の出来事、情報
後日、家族のもとを訪れると隣家の住人が引越し、それとともに幼児の鳴き声も聞こえなくなったと告げられる。隣家の庭を捜索し、女の名前が石井潤子と分かる。さらに捜索するとハトの死骸が落ちている。小林は幼児の鳴き声を聞いたという家族に挨拶をし、その場を去った。唐突に画面下部に「2人は、この5日後に死亡した」のテロップ。
サスペンス一覧
- なぜ隣家は引っ越したのか。
- なぜ幼児の鳴き声は聞こえなくなったのか。→(予想)石井一家と幼児の鳴き声が関係していた。
- なぜハトの死骸が落ちていたのか。→(予想)石井潤子が殺した。
- なぜ家族は死んだのか。→(予想)石井一家に関係がある。
シーン4の出来事、情報
超能力を持った小学生が登場するテレビ番組。矢野加奈という少女のみ第1問から第4問までの透視実験に正答する。しかし第5問で顔のような絵を書いて不正解。次の物質化現象の実験では、空のフラスコ内に水を出現させることに成功する。水を鑑定すると淡水で中に入っていた毛は新生児のものである可能性が高いという。
サスペンス一覧
- 超能力は本物なのか。
- なぜ第5問のみ失敗したのか。
- 第5問の顔は何なのか。
- 淡水はどこのものなのか。
- 髪の毛は誰のものなのか。
シーン5の出来事、情報
小林は矢野家を訪れる。実験後、加奈が寝込んでいると母親から聞かされる。医師にも原因が分からないとい言う。小林は加奈が超能力を使いすぎたのではないか、と話す。
サスペンス一覧
- なぜ加奈は寝込んでしまったのか。→(小林の予想)加奈が超能力を使いすぎたから。
シーン6の出来事、情報
アンガールズと松本まりかがテレビ番組の収録のため神社を訪れる。霊感があるという松本の指示に従ってついていくと、枯れ木が生えた場所に着く。枯れ木に触ろうとするアンガールズを松本が制止し、直後に松本は変な音が聞こえたと話す。松本はもう一度枯れ木の方を見めつると、その場にうずくまり、地面に寝転んで叫びだす。アンガールズがカメラを止めるように指示し、映像が終わる。
サスペンス一覧
- なぜ神社の境内に枯れ木が生えているスポットが存在するのか。
- なぜ松本はアンガールズに枯れ木に障らないように指示したのか。→(予想)呪われるから。
- 松本は一体なんの音を聞いたのか。→(予想)幼児の声
- なぜ松本は叫びだしたのか。→(予想)取り憑かれた。→6.何に。
- 松本はそのあとどうなったのか。→(予想)(死亡or入院)
シーン7の出来事、情報
トークライブ「怪奇実話ナイト」の文字。舞台上には司会者と小林、松本の3人が座っている。松本が収録地の状況について語る。そして松本を霊視するため、掘光男が登壇する。しかし掘は突然松本に抱きつき、「鳩が山だ」などと叫び、会場を追い出される。
サスペンス一覧
- 収録と小林の関係は何なのか。
- 掘とは何物なのか。
- 掘の「鳩が山だ」発言はどういう意味なのか。
- 掘はこの後どうなったのか。
サスペンスの結果
松本まりかは無事だった。→(S6-5の結果)=不首尾。
シーン8の出来事、情報
小林は神社での収録のディレクター新橋に会いに行く。新橋は松本に以前収録の映像を渡したが、その映像はある部分をカットしたものだと告げる。新橋が画面の右側に注目するように小林に促す。
サスペンス一覧
- 新橋はなぜ映像をカットして松本に渡したのか。→(予想)怪奇現象が映っていた。
- 画面の右上カットした部分には何が映っていたのか。→(予想)怪奇現象が映っていた・
シーン9の出来事、情報
小林は出版社で新橋から渡されたビデオテープを松本に見せる。そのビデオテープを見た松本は、スケジュール帳を取り出し、そこに描かれている落書きを小林に見せる。この落書きを書くようになったのは神社を訪れた後からだと言う。その後、カットなしの映像が流れる。松本の右側には人影が映っていた。
サスペンス一覧
- なぜ小林は松本にビデオテープを見せたのか。
- なぜ松本は落書きを書いてしまうのか。→(予想)神社で取り憑かれた。
- 松本の右側に映っていた人は一体だれなのか。
サスペンスの結果
収録された映像には人影が映っていた。→(S8-1,2の結果)=成立
シーン10の出来事、情報
小林が矢野宅を訪れる。加奈の熱が下がったというが、代わりに加奈が見えない相手と話していると母親が告げる。小林が加奈に対して母親には見えない人の正体を問いただすと、加奈は「たぶんね、もう全部ダメなんだよ」と言う。
サスペンス一覧
- 母親には正体が見えない加奈の話相手はだれなのか?→(予想)幽霊?S4の透視実験で加奈が書いた顔。
- 「たぶんね、もう全部ダメなんだよ」の意味。
シーンの11出来事、情報
夜、矢野一家が夕食を食べていると、突然可奈のスプーンが折れ、料理が皿ごと移動しテーブルから落ちる。頭を抱え叫ぶ可奈。両親は加奈を寝室へと入れる。
サスペンス一覧
- なぜテーブルの皿は落ちたのか。
- これは加奈の超能力によるものなのか。
- この後加奈はどうなってしまうのか。
ここまで分析してみた感想
『ノロイ』はいわゆるドキュメンタリーとフィクションを融合させたモキュメンタリーという手法を使ったホラー映画である。そのため従来のジャパニーズ・ホラーで用いられているような視覚的・聴覚的演出というのは、あまり使われていない。この先、一体なにがおこるのか、というサスペンスに特化した怖がらせ方をしていてサスペンス分析に合っている。実際に分析をやってみてそのことに気付いた。現在冒頭から30分ほど、内容を要約しサスペンスと思われる部分を抜き取ってみたがやはり30分では提示されたサスペンスに対する答えはまだまだ見えてこない。前半は謎が提示されるばかりである。次回のサスペンス回収に期待したい。