The Mist ゲームっぽさも映画の面白さのうち?

※ネタバレ有り 

 後味が悪い、ということで有名な映画。初見はかなり昔で、以前にも見返した記憶があるので、今回で少なくとも3回は見たことになる。でも面白かった。ただもう一回見たいかと聞かれれば、もうしばらくは見たくない。この内容が面白いということと、二度と見たくないということが両立する映画というのは少ないと思う。

 この映画の面白さはゲームにも通じるところがある。狭い空間に複数の人物が閉じ込められたらどうなるのか、というシミュレーション的な部分がこの映画の面白さの根底にある。それは普通の映画とはまったく質の違う面白さだと思う。この映画は極限状態のなかでいかにふるまうか、を観客に想像させることによって成り立っている。

 極限状態を作り出すために、登場人物の思考はかなり稚拙で紋切型なものとして描かれている。カルトめいたカトリック信者や現実主義者でオカルトの類を全く信じない人物などが、それぞれのキャラクターに沿った行動をし、対立する。中には本当に低レベルでうんざりするものも含んでいるが、それは登場人物を行動させ、物語を動かすのに一定の貢献をしている。

 問題はラストシーンで、バッドエンドで全く構わないのだが、やるべきことをやってからの自殺と、やるべきことをやらないままの自殺とでは、物語の説得力が違う。後者では作者の都合でバッドエンドが選択されたように見えるのが問題なのだと思う。だから結末については問題があるという点には共感する。ただ全体的によく出来た映画だとは思う。