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『クソすばらしいこの世界』 いっそB級ホラーのように単調であれば良かった、と考えてしまうのであった。

 

クソすばらしいこの世界 [DVD]

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2回見た。1回目はふつうに、2回目はオーディオコメンタリー付きで。オーディオコメンタリー付きでの鑑賞は、最後まで見るつもりは無かったのだが、おもしろくて結局最後まで見てしまった。これまで見た映画の中で一番良いオーディオコメンタリーだったと思う。作品自体がつまらないという人は、オーディオコメンタリー付きで見ることを薦める。逆に1回目は見るのがきつかった。見る前は日本人が作ったB級映画っぽい作品なのかと思っていた。序盤までは確かにB級映画っぽかったのだが、途中から『ホステル』のようなグロ要素が加わり、さらにSF要素も入って、けっこう盛りだくさんな内容だったと思う。

 

ストーリーは、アメリカの日本人留学生5人と韓国留学生1人が休日に山にドライブに出掛けるが、途中で殺人鬼の兄弟に出合い、次々と殺されていくというもの。

 

『ホステル』系の作品が苦手なので、初めて見た時はグロシーンが辛かった。暴力描写や傷口の描写が非常に完成度高く描かれているので、そういう作品が好きな人にとってはたまらない映画なのかもしれない。

 

途中から加わるSF要素はある年代の日本人ならお馴染みかもしれないが、ホラー映画では見たことが無い。こういう突飛な展開は、ストーリーを意外性のあるものにしているともいえるし、話を無駄に複雑にしているというようにも考えられる。この要素がなければ普通のB級映画っぽい映画のテイストになっていたかもしれないが、私はこの展開は間違っていなかったと思う。なぜなら、日本人のキャラクターでは、B級映画は成立しないと、見ていて確信したからである。B級ホラーは、ヒステリックに叫んだり、急に異常な行動力を発揮する女や、無駄に明るい黒人やプレイボーイの白人の存在があって初めて成立するものだと思う。そして日本人にそこまでの極端さを求めるのは不可能だ。だから捻った展開を加えたのは正解だったと思う。

 

ただ作品全体に何となく薄っぺらい印象があるのも事実で、そこが映画としての評価を下げているのかもしれない。登場人物について、あまり掘り下げがなされていなくて、ステレオタイプとして描かれている。もちろんそれは狙ってのことなのだろう。

 

B級ホラーならば、それでもいいのかもしれないが、そこにSF要素が加わると観客は意味やメッセージなるものを求めてしまう。それは人間としての性なのだと思う。そういう点でなかなか評価の難しい映画だと思った。