2016年の紅白で聞きたい椎名林檎の曲5選
今年の椎名林檎を振り返ってみた時、「今年はこの曲!」っていう曲があったかと考えてみても全然思い浮ばない。『長く短い祭』がヒットした去年とは全く状況が違うのだ。
それでも昨年に引き続き、彼女は今年も紅白のメンバーに選ばれた。そして、もちろんいずれかの曲を歌うわけで、じゃあ何を歌うのかという点が問題になる。
彼女が今年一番注目を浴びたのは、もちろん企画、演出を務めたリオ五輪の閉幕式の引継ぎセレモニー関連の話題においてである。
だから当然オリンピックに関連のある曲が選出される可能性が高いわけだが、そうなるとやはり一番有力なのは『NIPPON』ということになる。
NHKのサッカー関連番組のために書き下ろされたという本曲は、2014年の紅白でも演奏されたので、覚えている人も多いだろう。しかし、一昨年にすでに演奏されたという点では新鮮味に欠けるとも言える。同様の理由で昨年の『長く短い祭』も、敬遠されるだろう。
そうなると一番有力なのは『カーネーション』ということになる。五輪との関連は薄いが、スローテンポで、NHKの朝ドラのOP曲でもあったこの曲ならば、お年寄りにも受け入れられやすい。また以前紅白で歌われたのが2011年なので、ほどほどに新鮮味がある。個人的な予想としては、この『カーネーション』の可能性が一番高いと考えている。
『カーネーション』が選ばれると予想する理由はもう一つあって、それは、この曲には政治性がほとんど感じられないからである。椎名林檎は、その姿勢が右寄りすぎるということで、最近は一部からの批判を浴びている。
こういう見方が拡がるのは、椎名林檎にとってもNHKにとっても、損である。だから歌詞が民族主義的と指摘される『NIPPON』は分が悪い。だが『カーネーション』ならば、問題にならなくて済む。
そういうことで、『カーネーション』が今年の紅白の最有力だと、筆者は考えているのだが、それとは別に個人的に紅白で聞きたい椎名林檎の曲についてランキング形式で書いていくことにする。
第5位 『あおぞら』
全然椎名林檎っぽくない爽やかな曲。作風的に近いのは、『幸福論』くらい。サントリーのCMで流れたのでそこそこ有名だと思う。と言ってもサビが一瞬流れるだけなので、わからないかも。
第4位 『自由へ道連れ』
東京事変っぽさが色濃く残るアップテンポな曲。深い意味があるようでない歌詞が素晴らしい。もし生演奏するのなら、ギターソロは絶対に飛ばさないでほしい。これは『ホテル・カリフォルニア』に匹敵すると言ったら褒めすぎか。あとはPV(MV)の小松菜奈も出してくれたら言うこと無し。
第3位 『闇に降る雨』
バイオリンのイントロが印象的な曲。Wikipediaによると
椎名曰く「私の中での演歌的な部分を全部集めたような曲」とのことで、完成曲を「これって森昌子じゃん」と思ったという。またインタビューでは、サビの「雨だろうが運命(さだめ)だろうが」というフレーズに「当時よくこんな事言えたなぁ」と話している。
とあるように、昭和の歌謡曲のような暗い情念にみちた曲。個人的には藤圭子を思い出した。年々、演歌、歌謡曲の割合は減り続けているので、その成分を椎名林檎で補うのもいいかもしれないと思ったので第3位。
第2位 『歌舞伎町の女王』
THE椎名林檎と言ったらこの曲、という認識はとっくに廃れているのかもしれない。でも『本能』や『罪と罰』が、半分がPV(MV)の力でヒットしたのに比べて、この曲の場合、歌詞が持つ世界観がPVのそれを遥かに凌駕している。それくらい、強烈で唯一無二の曲である。よく爆笑問題の太田がネタにしていることでもおなじみ?
第1位 『夜明けの歌』
3.11の1か月後にYoutubeでひっそりと公開された動画で歌った曲。オリジナルは1964年の岸洋子の代表曲。公開された時期的にある種の鎮魂歌的な意味合いを持っていたと考えられる。その当時の騒々しい雰囲気もあって、さほど注目されなかったが、彼女なりに震災に向き合い、アーティストとして被災者に対して何ができるのかを考えた結果がこの曲なのだと思う。あの大震災から5年。オリジナルが偉大すぎてなかなか難しいとは思うが、メモリアルな年の締めくくりに、これ以上ふさわしい曲はないのではないか。
まとめ
結論としては、椎名林檎の多面的な魅力を引き出せる曲ならなんでも構わないと思う。ただ、できることならあんまりオリンピックを強調せずに、いちアーティストとして魅せてくれるような演出の方が好ましい。いちファンとしては。