紅白でイエモンに歌ってほしいけど、諸々の事情でたぶん無理な曲BEST5

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 紅白でイエモンに歌ってほしいけど、諸々の事情でたぶん無理な曲BEST5

 独断と偏見の5位から1位までを発表する。項目は上から、曲名、歌詞(別サイト)、紅白で歌えない理由、その曲についての解説の順である。

 ※動画については、公式動画のみ張るので、どうしても曲が気になるという方は動画検索で探せば見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。

第5位 LOVE LOVE SHOW

歌詞:THE YELLOW MONKEY/歌詞:LOVE LOVE SHOW/うたまっぷ歌詞無料検索

理由

ロマンチックすぎる

解説

 ロマンチックといえば聞こえは良いが、イエモンのロマンチックは度が過ぎる。「雨が続いて カミナリ鳴って 山が火を噴き 海が荒れても あなたのために 歌を歌おう 今夜はとても キレイだよ」なんて歯が浮くような歌詞は、普通の歌手は歌えない。加えて、『LOVE LOVE SHOW』には、けっこうストレートな性的表現もある。

 Wikipediaによると、吉井はカラオケで歌われることを意識して作詞・作曲をしたと語っているが、本人は良くても、カラオケに同席した人たちは困るだろう。ただ、すべて何かの比喩ですと言い切ってしまえば、紅白でも歌えないことは無いような気がするので5位。

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第4位 離れるな

歌詞:THE YELLOW MONKEY/歌詞:離れるな/うたまっぷ歌詞無料検索

理由

病的すぎる

解説

 紅白ではすっかり常連になった椎名林檎も、デビューしたての頃は、病的かつエキセントリックな雰囲気で話題を集めた。『ここでキスして』や『本能』のころの病的なオーラはだいぶ控えめになったが、今でもエキセントリックさは健在で、紅白で毎回視聴者を楽しませている。本当かどうか分からないが、Wikipediaによると、その椎名林檎がファンは、イエローモンキー、吉井和哉のファンだったらしい。

 その噂が本当だと思えるほど、吉井和哉という男は、重く、胸が苦しくなるような歌詞を書くのが上手い。そして5位の『LOVE LOVE SHOW』もそうだが、この曲もシングルのタイトルとして発売された。こんな暗い曲をよくA面に持ってきたな、と驚くが、これについてはレコード会社の判断で、メンバーは反対していたとのこと。妖しさとムンムンとした熱気が漂っていて、犯罪映画のOPにでも使われそうな曲。紅白で聞いたら、そのあと悪夢でうなされそう。

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第3位 TVのシンガー

歌詞:THE YELLOW MONKEY/歌詞:TVのシンガー/うたまっぷ歌詞無料検索

理由

ペシミスティックすぎる

解説

 イエモンの曲には、ペシミスティック(悲観的)なものはたくさんあるが、この曲は、自己言及的なところが特徴的だ。自らが所属する音楽業界、芸能界、ミュージシャンに、そして自分自身に毒を吐きまくっている。このご時世、この曲を紅白で歌ったら、被弾する芸能人、有名人はたくさんいる。まず薬に関してはもう言うまでも無い。「でっかい車 ちっちゃな肝っ玉」もつい最近あった。「常に性的な欲望だらけ」はゲス不倫として流行語にもなった。紅白で歌ったら話題にはなるが、毒が強すぎる。それだけでなく、三女一男を設けた嫁と離婚し、真鍋かおりと再婚した吉井自身も被弾する可能性がある。まさに諸刃の剣である。

第2位 NAI

歌詞:THE YELLOW MONKEY/歌詞:NAI/うたまっぷ歌詞無料検索

理由

エキセントリックすぎる

解説

 この曲はちょっと他の曲と違って特殊だ。解散前のイエモン特有の暑苦しさがこの曲には無い。どちらかというと、吉井和哉がソロの時に歌った曲のような緩さがある。しかし、鬼気迫る何かがあるという点で、吉井和哉のソロ曲とも異なっている。よく幻覚剤のLSDを摂取して、創作活動を行うと、斬新な作品が作れるという話を聞いたことがあるが、NAIもそいういうふうにして作られた作品じゃないかと疑ってしまう。

 Wikipediaによると、この曲は「性器を持たない男性と女性の報われない愛を描いている」とのこと。そういわれると、そんな感じもしてくる。この異様さを分かってもらうには上のリンクから飛んで、直接歌詞を見てもらった方が早い。

第1位 HOTEL 宇宙船

歌詞:THE YELLOW MONKEY/歌詞:HOTEL宇宙船/うたまっぷ歌詞無料検索

理由

性的すぎる

解説

 歌詞を見てもらえば分かるので解説する必要は無いと思う。『バラ色の日々』や

 『砂の塔』を聞いて、正統派のロックバンドだと思い込んでしまった方々には申し訳ないが、ザ・イエローモンキーというのは基本的にこういうグループである。ちなみに、1番と2番の歌詞のあいだで「ほしぶどうー」という声が入るが、上の歌詞サイトでは省かれている。なぜだ。

 

まとめ

 残念ながら紅白ではたぶん無難な選曲がなされるだろう。今年発売された『砂の塔』で十中八九決まりで、次点で再結集後に作られた『ALRIGHT』だろうが、解散前の曲だとしても『楽園』や『バラ色の日々』のような、ある程度ヒットした王道の曲に限られる。大穴で『JAM』の可能性もあるかといったところか。(追記:歌詞「外国で飛行機が落ちました」があるので『JAM』は無いですね)

 

 予想通りの無難な曲が選ばれた結果、イエモンは90年代を代表する伝説のアーティストとして祀り上げられ、再評価が進むかもしれない。でも、それはそれで当時を生きたイエモン好きとしては結構違和感がある。

 

 というのも、当時イエモンの上には常にGLAYミスチルやサザンがいて、売上という点でイエモンは彼らに遠く及ばなかったからである。そういうことで、実際イエモントップランナーだった時代など全くなかったのだから、彼らを「90年代を代表する」と評することは不正確だし、失礼なことだとさえ思う。

 

 それでは解散前のイエローモンキーとは、本当はどのようなロックバンドだったのか。私は本物のイエモンファンからすれば、ファンを名乗る資格の無い人間だとは思うが、イエモンがどのようなロックバンドだったかを、主観全開で書いてみると以下のようになる。

 

 彼らは、中性的な魅力を全面に押し出したバンドとしてキャリアをスタートさせ、いわば中性的な容姿、言動を売り物にしてのし上がったグループのひとつだった。しかし、中性的、色物的な魅力は、メジャーになった後の彼らには重荷になった。そのことは彼らの曲を聞いてる立場の人間からでも分かった。

 

 ビジュアル系というカテゴリーは、その言葉が生まれた段階ですでに侮蔑的な意味を持っていたが、その意味を肯定的に受け取るグループもいた。ビジュアル系というカテゴリーが生まれ前からずっと、イエモンはあのスタイルだったが、否応なくビジュアル系の仲間として括られることになった。これにメンバーが忸怩たる思いを抱いていたことは容易に想像できる。

 

 そのことがグループの解散につながったというのは邪推だが、ソロ活動を開始した吉井和哉イエモンの時はロビンと呼ばれていた)が、服装や曲調をガラッと地味なものに変えたのは事実である。吉井の変節は、イエモンファンをふるいにかけることになり、結果、彼らの大半が吉井和哉に失望し、聞き続けることを辞めた。私もそのひとりである。

 

 話が横道にそれたが、以上のことからも分かる通り、イエモンは王道を往くロックバンドでは無かった。また売り上げという客観的な数字の上でも、GLAY、サザン、ミスチル、さらにはB'zやラルクにも及ばなかった。そう考えると、90年代を代表するロックバンドという呼び名がいかに正当なものでないか、は分かってもらえるだろう。

 

 彼らが伝説足り得る理由があるとすれば、それは、誰が言ったか知らないが「産業ロック」という言葉では、とても回収できない、過度にロマンチック、病的、ペシミスティック、エキセントリック、性的な曲や詞を多く残し、さらにはヒットさせてしまったこと。そういう理由以外に考えられない。

 

 そして売上と自分たちの路線との間の葛藤に引き裂かれながらも、彼らは最後まで自分たちの出発点であるところの主義主張を貫徹した。その証拠に、メンバー監修で製作された最初で最後のオールタイムベスト・アルバムである『THE YELLOW MONKEY MOTHER OF ALL THE BEST』には、上に挙げた5つの曲全てが収録されている。

 

 以上より、語弊を恐れず、解散前のイエローモンキーというグル―プを一言で表すならば、変態ということに尽きる。変態の持つ最大の特徴は、それを享受する人々の社会生活にプラスの影響ををもたらさないことだ。

 

 実際、イエロ・モンキーの曲が持つ、ロマンチック、病的、ペシミスティック、エキセントリック、性的な部分は、何か人の役に立つわけではない。『テレビのシンガー』や『NAI』を聞いたところで、気分転換になったり、意中の相手に告白できるようになったり、失恋から立ち直れたり、自分には見守ってくれる仲間がいるからそれで十分じゃん、という気持ちになれるわけではないのである。

 

 しかし、そのことがイエモンと同時代にいた他の人気アーティストとを分けている。イエモンぐらい変態になりきれたロックバンドは他にいなかった。イエモンほど消費の対象となることを拒んだロックバンドは他にいなかった。そして、イエモンの生み出した変態は、機能的でない代わりに、ただただ美しかった。イエモンが伝説的と呼ばれる理由があるならば、そのことぐらいだと私は思う。

 

 皮肉なことに(ある意味では当然なのだが)、イエモンが解散し活動をしていなかった十数年の間に、GLAYミスチル、サザンが凋落した結果、イエモンに期待する声は大きくなってしまった。それゆえ、今年の紅白が彼らにとっての大勝負となることは間違いない。往年のイエモンファンは90年代のパフォーマンスを期待するだろうし、イエモンを知らない世代の中にもYoutubeの動画で見て、彼らに同世代とは違う何かを見出している人がいるかもしれない。

 

 ただ残念ながら、ザ・イエローモンキーがそういった期待に応えられるかは疑問である。事実上の解散から15年経っているのだから、それは無理というものだ。15年というと、当時5歳の子供は今は20歳だし、解散時30代半ばだったイエモンメンバーは今や50歳前後となっている(それでも髪型や体形が当時とほとんど変わって無いのは奇跡的といえる)。

 

 加齢による衰えは必然で、ロビン(吉井の愛称)による歌もエマ(菊地英昭)、ヒーセ(廣瀬洋一)、アニー(菊地英二)らによる演奏パフォーマンスも、現実的に考えて、90年代を上回ることはないだろう。当時との比較を恐れるなら、昔の曲よりも『砂の塔』『ALRIGHT』を選んだ方が無難だ。今の彼らでは「伝説」の再現は難しいからだ。

 

 ただ、その選曲では今のイエモンの魅力しか伝わらない。ただのイエモン好きとしても、それでは全く不満なのである。「今のイエモンには、昔のイエモンには無い魅力がある」という意見にはまったく同意できる。でもそれだけじゃダメだ。今のイエモンの曲には変態が明らかに足りない。また、「昔のイエモンは凄かった、それを見せてやりたい」っていう懐古厨的な欲望は自分にもある。でもそれだけでももちろんダメ。

 

 結論としては、今のイエモンの良さを最大限引き出しつつ、自分のようなファンのために、90年代の名残も見せてくれないと完全には納得できないということになる。この大きすぎるハードルをクリアするための方法はただ一つで、メドレーで再結集後の曲と解散前の曲とをそれぞれ歌うことだ。その中には、ぜひ上に挙げた5つの曲のうちの1曲でも選んでもらえれば非常にうれしい。『HOTEL宇宙船』は無理でも『LOVE LOVE SHOW』くらいはいけるんじゃないかと。明るい曲だし。

 

 とにかくイエモンの真骨頂は変態で、それができないというなら、紅白に出る意味はほとんどない。あまり奇異なことをしたら、いつかの気志團のように叩かれることになるかもしれないけど、紅組の相手が林檎姉さんなら多少は相殺されるから、『HOTEL宇宙船』でもいけないことは無いと思う。

 

 次はイエモンに本気で歌ってほしい曲で、紅白で歌われる見込みのある曲について、書けたら書く。(続くかもしれない)

はてなイエモンの曲予想やってる人いました。

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