お姫様願望について

 

 

日曜の朝、テレ東で『小さなプリンセス ソフィア』というアニメを放送していた。なんとなく見ていたら、子どもの頃の苦々しい記憶がよみがえってきた。自分の子どもだった時も、お姫様願望を持つ女の子に対してどうふるまえばよいのか分からなかった。これは今も昔もあまり変わらないと思う。今の男の子も、女の子のお姫様願望には苦労しているのではないだろうか。

 

子どもの頃にもっとディズニー作品を見ていれば、より正しい行動を選択できたのかもしれない。自分の家にはディズニーの作品は無く、アニメと言えばもっぱらジブリ映画だった。だから『となりのトトロ』のサツキやメイの気持ちには共感できても『白雪姫』や『シンデレラ』に関しては、登場人物については名前さえ知らなかった。そのくらいディズニーとは無縁だった。

 

アニメ『小さなプリンセス ソフィア』もどうやらディズニーが製作しているらしい。お姫様願望はディズニーが作りだしていると言っても過言ではないのかもしれない。それは女の子とっては良いことなのかもしれないが、多くの男の子にとっては厄介である。

 

おそらく日本の男の子が女の子のお姫様願望を理解できないのは、お姫様という存在が日本社会の現実とは乖離した存在だからである。お姫様という概念、理想像はアメリカから輸入されたものであり、日本には元来存在しないものなだ。男の子にとって一番身近な女性は母親であり、そこからお姫様を想像しろ、理解しろというのは無理である。母親は子どもに対して奉仕する存在であり、役割によって固定されているが、メディアに登場するお姫様は奉仕される存在であり、高い地位にありながら一定の自由が約束されている。母親とお姫様はあまりにも違う。だからこそ男の子は理解に苦しみ、女の子は憧れるのだろう。

 

ではアニメのストーリーについて少々。主人公は何人かのお姫様の友人と一緒の施設で生活している。主人公はいつも遊んでいる気の合う友人が2人いて、いつもその子たちと一緒に行動していた。ある日主人公はお姫様らしい事がしたいと考え、2人を誘って別の洗練されたグループと一緒にお姫様らしい遊びをしようと提案する。しかし実際に遊んでみると、主人公は別のグループのお姫様らしい遊び(ダンスとか)に適応できたが2人は適応できなかった。2人は主人公とは価値観が合わないと考え、主人公に別れを告げる。その後、主人公に無理やりお姫様らしいふるまいをすることを押し付けてしまったこと後悔して2人に謝罪して仲直りし、また一緒に行動するようになるというものである。

 

見ていてちょっとゲンナリしてしまった。要はクラスの中でどのグループに所属するかという小さな話をお姫様という設定で展開しただけである。こんなリアルでミニマムで夢の無い話を子ども向けアニメとして放送する意味があるのだろうか。そして割と嫌らしい部分もある。自分は上流階級に合ったふるまいを身につけているけど、気が合うのは素朴で洗練されていない子たちだから、あえてそちらと付き合います、っていうのはメッセージとして正しいのだろうかと考えてしまった。