『ゴッドファーザー』は王道を往く

 

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ストーリー要約

 ニューヨークを拠点とするイタリア系マフィア、ヴィートゥ・コルレオーネは一家で裏の仕事をしていた。一家の仕事は、ヴィートゥを訪ねてくる彼の知人たちからの相談に乗り、彼らの望みを非合法的な手段で叶えるというものだった。

 ビートゥの娘の結婚式の日、ひとりの歌手が彼のもとを訪ねる。歌手は以前、ヴィートゥの手助けによってスターになった男だった。歌手はどうしても出演したい映画があるのだが、あるプロデューサーのせいでその映画に出演できない、と相談する。これを聞いたヴィートウはファミリーのひとりである養子で弁護士のトム・ハーゲンにこの仕事を依頼する。トムはプロデューサーに会い歌手の出演を直訴するがプロデューサーは態度を変えない。するとトムは彼の愛馬の首を切り、プロデューサーのベッドの中にそれをこっそりと隠し、そのプロデューサーのもとを後にする。このようにファミリーは暴力や恐喝を駆使して、人々の願いに応え、それによって恩を売りつけ、権力者たちを牛耳っていた。

 しかしヴィートゥが他の有力なマフィアから、麻薬の売買を持ちかけられ、それを断ったことから事態は一変していく。

 

感想

 脚本が練られていて完成度が高い。対して映像は、照明がすばらしいものの、あまり特徴がない。ほとんどのカットが俳優を目線と同じくらいの高さから水平にとらえている。いわゆる煽りや俯瞰から俳優を捉えたカットは少なく、クローズアップも多くはない。基本的なカメラワークが使われているので、万人に受け入れられやすいとは思う。

 長男のソニー、三男のマイク、弁護士のトム・ヘイゲンのキャラクターの描き分けがうまい。無鉄砲なソニー、大学出の優男から一家のドンに成長していくマイク、一家の懐刀役のトムの三人がそれぞれ違った魅力を持っている。前回見た時はなぜか、脳筋ソニーが一番印象に残った。その一方で、三男のマイクは重要な役どころであるにも関わらずほとんど記憶に残っていなかった。今回見て、やはりマイクの演出が一番力が入っているということに改めで気付かされた。この映画はマフィアが登場するバイオレンス映画であり、マーロンブランド演じるマフィアのドンの凋落を描いた作品でもあるのだが、一番の中心にあるのはマイクの成長譚であり、物語として典型的で分かりやすい構造を持っている。

 暴力描写などはあるものの、演出は平易で、物語もわかりやすい。映画としての完成度は高いが、敷居が低く、万人向けの作品に仕上がっているところがこの映画の最高の美点である。