深作欣二の遺作ではあるが、子どもだましの映画『バトルロワイヤル』

映画『バトル・ロワイアル』 予告篇 - YouTube

 この『バトルロワイヤル』の影響で『デスノート』や『カイジ』がヒットする下地が生まれた。ただ、この映画自体は大した作品ではない。少なくとも深作の代表作『仁義なき戦い』と比較できるような作品ではないことは確かである。この映画は深作の遺作なのかもしれないが、最高傑作とはお世辞にも言えず、せいぜい若者向けのエンターテイメント作品のひとつにすぎない。

 ストーリーを、説明するまでもないと思う。離島で中学生が殺し合うという話である。群像劇の要素が含まれていて、主要な登場人物を説明する回想がたびたび挿入されるのだが、その描かれ方がとってつけたように淡白なので、全体に軽薄な印象を受ける。

 ただ、ひとりひとりの登場人物に対して、必要以上に深く掘り下げないので、サクサク人が死に、物語がテンポよく展開する。こういった観客を飽きさせない姿勢は素直に評価できるが、一定年齢以上の観客には鼻で笑われるだろう。

 主演の藤原竜也は、例の如く、理不尽な出来事に対して「う゛わぁぁぁぁ」とか叫んでいるだけの役立たずで、なぜこんな男にヒロインの前田亜季が惚れているのか不思議なのだが、それでも画になるところはさすがである。

 前述の通り、演出を『仁義なき戦い』と比べても仕方ない作品ではあるのだが、学生たちのリアクションを丁寧にとらえている点は評価できる。暴力的なアクションばかりが語られる本作であるが、そのアクションに怯える子どもたちの表情を的確にとらえているからこそ、アクションの暴力性が際立っているのである。

 2000年代の邦画を振り返る上で必要不可欠な映画だと考え見たのだが、もう一度見たいとは思わない。公開当時は15禁だったらしいが、それよりもかなり子供向けの映画だと感じた。

 

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