久保ミツロウのこと

最近ヒャダインといっしょにテレビのトーク番組に出ていた。世間一般には映画やテレビドラマでヒットした『モテキ』の作者として知られている。個人的には、少年マガジンの『3.3.7ビョーシ!!』で知った。『3.3.7ビョーシ!!』は、自分ではおもしろいと思っていたのだが、周りには共感してくれるものがいなかった。そういうことで、妙に記憶に残っている。

『3.3.7ビョーシ!!』はマガジンのなかでも異色で浮いた存在だった。主人公は九州から上京した浪人生で、そいつがホストクラブで働くという話。純粋なバトルものでもなく、純粋な恋愛ものでもない。ドロドロした人間関係を描くのが非常にうまかったのだが、そんなものを求める読者はマガジンの読者層にはいなかった。当時の週刊少年マガジンは昔からのヤンキー路線と、『ネギま』などの萌え路線を合わせ持った非常におかしな構成だった。その中に少女マンガ的なドロドロ要素をもった『3.3.7ビョーシ!!』が生き残っていくことはかなり困難なことだったと思う。結果的にこのマンガはかなり中途半端なところで終わった。多くの伏線が張られていたが、それらは読者が納得するような形では回収されていなかったと思う。

で、その次に週刊少年マガジンで連載されたのが、『トッキュー』という海上保安庁をテーマにしたマンガだった。これがクソつまらなかった。こちらはアクションシーンが中心で、人間同士のドラマ要素が非常に薄かった。同時話題だった『海猿』の2匹目のドジョウを狙ったようだが、明らかにこの作者には向いてなかった。私は根気強く恋愛路線にシフトチェンジすることを願ったのだが、原作が付いていたようで無理だった。

ここで私は久保ミツロウを切った。『トッキュー』は4年も続いたのことだから、マガジンの読者的にはこちらのほうが、ウケが良かったようである。『モテキ』を書きはじめたのはこの後だが、私はその時にはもう完全に興味を失っていて、今に至っても『モテキ』マンガ版は見ていない。媒体が青年誌に移ったら、久保ミツロウがウケることは何となく分かっていたのだが、それを読む気になれなかった。

久保ミツロウは、今は少年マガジンで書いているようだが、いまはまだあまり読む気になれない。いつか気分が向いたら読んでみようと思っている。それよりも『3.3.7ビョーシ!!』がドラマ化してくれたな、なんて考えているのだけれど、まあ無理だろう。