ニコニコ動画の軽薄化(脱オタク化)について

 最近、ニコニコ動画の中で形成される「おもしろい」とされている動画にだんだん乗れなくなってきたと感じる。ここ1週間ぐらい、「笑ってはいけない地球防衛軍」のなかの月亭(山崎)方正と宇宙人とのやりとりがランクの上位に位置しているし、「ガールフレンド(仮)」のCMも話題になっている。正直なところ、どうしてこれらがニコニコ動画において人気なのか分からない。「ガキの使い」のような、テレビのバラエティ番組の話題は、以前からYouTubeでは一定の人気があったが、ニコニコ動画で話題になることはなかった。「ガールフレンド(仮)」のCMにしても、この手のカタコトキャラなら他にもいっぱいいるのではないか。

 笑えないのは自分が年を取り話題についていけなくなったともあるだろうし、冬休み中の小中学生が多く鑑賞しているということもあるだろうけど、それだけでは説明がつかない。おそらくニコニコで好まれる動画の傾向自体が変化しているのであろう。具体的には、動画を楽しむにあたってオタク的な知識が必要とされなくなっていると感じる。「笑ってはいけない地球防衛軍」「ガールフレンド(仮)」にしてもテレビで放送された内容が元ネタなので、その放送を見てさえいれば理解できる。テレビ発の話題を楽しむにはまどろっこしい前提知識など不要なのである。

 こういった傾向はニコニコ動画が若者のコミュニケーションツールとして浸透していることの証しだろう。若者が話題のネタとして楽しむには、オタク的な知識を前提としたものではあってはならない。理解されやすいもの、だれも傷つけない軽いものでなくてはならないのである。 個人的にはこういった流れはおもしろくないのだが、だれかの意図でこうなっているのではなく、自然な流れで起こっていることなのだろうから仕方ない。これからもニコニコ動画では、テレビで放送されたインパクトのある番組やCMが話題の中心になっていくだろう。