『だんちともお』が想像以上に良かった。

 朝、NHKで『団地ともお』というアニメをやっていて、何となく見てしまった。以前から存在は知っていたのだが、団地がウリのアニメなんて面白いはずないだろう、という先入観があって見てなかった。

 たまたまNHKを見ていたら、放送していたので試しに見てみたら、それなりに面白かった。とはいってもすごく面白かったという感じではなくて、ふつうに面白いかった。いや、団地に住む小学生たちの日常を描いておもしろいと思わせるのは相当すごいことなのかもしれない。物語的なおもしろさは皆無なのだけど、日常のディティールの描き方に説得力がある。実際の団地住人もこういう感覚で生活しているんだろうな、という感じが伝わってくる。私は団地に住んだことがないので、団地のあるあるネタをやられても全く面白くはないのだが、団地に住むってこういう感じなのかってことは見ていて伝わってきた。

 噂には聞いていたのだが、団地に住んでいる人達っていうのはあまり裕福な人たちではないらしい。主人公はあからさまに頭が悪いキャラクターとして描かれている。サザエさんのカツオやドラえもんののび太の場合は、頭が悪いということが戯画化されて描かれているわけだけど、『団地ともお』の場合は「頭が悪い」ということと家庭環境の劣悪さみたいなものと結び付けられて描かれている。だからリアルで見る人によっては胸糞悪く感じる人もいるかもしれない。

 今日見たエピソードで言えば、主人公はクリスマスに欲しいプレゼントがあるらしいのだが、そのプレゼントを買うことを親が渋っている。主人公の友人は親に図鑑を買ってほしいと頼んだら快く了承してくれたらしい。主人公はこの話を聞いて、「勉強に関係のあるプレゼントであれば、親はよろこんでそれをわが子に与えるが、そうではないプレゼントを与えるのは渋る」と愚痴っていた。

 結局主人公が親にプレゼントしてもらったものは長ズボンっだった。主人公は冬の寒い日にジャンパーを着て遊びに出かけたことで、友達にファションセンスを褒められ、おしゃれに目覚めることになった。その結果がクリスマスプレゼントとしての長ズボンだった。このエピソードを見ていてなんだか悲しくなった。

 よりによって何で長ズボンなのだろうか。他にもっともらって嬉しいプレゼントがあったはずじゃないのか、と。『団地ともお』はけっこうそういったツッコミどころが多いアニメだった。人を選ぶ作品であることに間違いがないが、団地出身なら大抵の人が楽しめるだろうし、少しリアルでダークな日常系?アニメとしても見ることができる。

 個人的には次も見てみたいと思わせるようなアニメだったと思う。