ADHDによる本の延滞を防ぐために図書館がすべきこと

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 私はいくつかの本を読んだ結果、自分はADHDではないのかと疑うようになった。というのもADHDに特徴的にみられる症状が、私にいくつも当てはまるからだ。そのなかでも厄介なもののうちのひとつが「先送り癖」である。これは、いまやるべきこと、やったほうがいいことをやらないで、あとでやればいいやと考えてしまうことである。そう考えて先送りしたことは、数時間後や次の日にやれればいいのだが、実際に手を付けるのはずっと後になってしまう。これが「先送り癖」である。

 

 この「先送り癖」が原因で学生時代の私を困らせたのが、本の返却期限でについてである。返却期限になったらすぐ返せばよいのだが、少しぐらい遅れてもいいや、と思っているうちに1週間、1か月と時間がたってしまい、貸出禁止のペナルティを課せられることになる。こんなことが何度もあった。「先送り」が長引いてしまう最大の原因は、返却にあたって、学校司書などと対面しなければならないことである。学校司書というは延滞した本を返却するとき、だいたいの場合、怒る・説教するなどのネガティブな反応を示す。このネガティブな反応を嫌うために、なかなか本を返せないというのが、延滞期間が延びてしまう大きな原因となっていた。これは客観的に考えればおかしいことなのだが、そこを主観的に考えてしまうのがADHDの考え方の癖なのではないかと思う。

 

 だから高校時代までは、本を読むことは好きでも図書館という場所は好きになれなかった。それは図書館という場所には、ネガティブな反応を司書という存在とセットだと考えていたからである。大学生になってから、自動貸し出し機や返却ボックスのためにずっと楽になった。だけど、高校生以下で私と同じような理由で苦しんだ人、現に苦しんでいる人は多いのではないかと思う。そう思って今回のこの記事を書いたのだ。

 

 この問題を解決するための手法はシンプルで、延滞している本を返却するにあたって、怒られるような状況を作らないことである。たとえ延滞している本でも、普通の本と同じように返却するようなルールで運用する。もしくは一律で返却ボックスを使うように指示することが、私のような「先送り癖」のある延滞者のための最良の方法だと思う。

 

 大学の図書館で延滞した本を窓口で返却する人もいるが、受付はその際も余計なことは言わずに事務的に処理するのが肝要だと思う。加えて延滞したことを謝る人もいるが、その時もペナルティ期間などを淡々と伝えるだけで良いと思う。とにかく返却とネガティブな感情を関連付けさせないことを意識してほしい。

 

 延滞本の督促をする分に関しては全く構わないと思うが、「先送り」を助長してしまうようなシステムは除去した方が、僕のような「先送り癖」のあるADHDには有効だと思うし、図書館も延滞本を減らせて助かるのではないか。そう思ってこの記事を書いた。