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ロメロ初期三部作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、『ゾンビ』、『死霊のえじき』

 ロメロの初期3部作はこれまで見ていなかった。最近やっと、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 (1968)、『ゾンビ』(1978)、『死霊のえじき』 (1985)の3作を見ることができたので、その感想を書こうと思う。

 結論から言うと、この3作はホラー映画を語るうえで必見の作品ではない。ロメロはゾンビ映画の生みの親としては偉大だが、映画監督としては微妙、というのが私の考えだ。最近のゾンビ映画を鑑賞したあとで、ロメロの初期作品を見るのは正直キツイ。以下に、それぞれの作品の感想について書いていく。

 

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド (1968)

 最初のゾンビ映画であるこの作品は、これ以降の作品とは違いよりパニック映画に近い。冒頭、突然現れたゾンビに驚いた女は、なんの抵抗もできず民家に逃げ込む。そこに黒人やカップル、子連れの夫婦などが加わって、生き残ろうとアレコレする、というストーリーである。

 この映画、登場人物たちとゾンビはほとんど戦わない。それは恐らく、登場人物がゾンビをよくわからない存在、つまりは幽霊のようなものとして認識しているからなのだろう。だからこの映画には、ゾンビを倒すことによって得られるようなカタルシスをほとんど感じない。むしろ人間同士の争いが中心に据えられた、非常にストレスフルな映画となっている。

 

ゾンビ』(1978)

  テレビ局での番組撮影シーンから始まるこの映画では既に、ゾンビがある程度認知された存在となっている。主人公は妊娠中の女性で、事態が悪化する中、ヘリで恋人他二人の男とともにテレビ局から脱出し、(イオンのような)巨大デパートを拠点にして生活する。主人公一行が生活の中心とするのは、屋上の下にあるゾンビが入ってこない安全地帯なのだが、そこには非常用食料があるばかりでとても文化的な生活は望めない。そこで大量のゾンビが徘徊するショッピングモールに突入し、危険覚悟で必要な物資を集めようとするのだが…というのが、おおまかなストーリーである。

 この映画では、前作ではあいまいだった、噛みつかれることで感染する、というゾンビの設定が明確に示され、ストーリーに活かされている。また無人のショッピングモールという魅力的な舞台が設定されたことも大きく、前作よりも多くの人に受け入れられやすい作品に仕上がっている。

 

 死霊のえじき』 (1985)

 ほとんど見捨てられた軍の地下基地が舞台となっていて、世界のゾンビ化がかなり進行している。生きている人間はゾンビと比べて圧倒的に少数派で、食料や武器の量に加え、地下基地の耐久力の面から言ってもタイムリミットが近い。主人公はそこで軍の庇護のもとゾンビの研究をしている女性研究者だ。だが充分な研究機材がないこともあり思うような研究成果が示せない。そうこうしているうちに軍のトップが暴走し、基地の住人に対して独裁者的にふるまうようになる。そうして主人公やその仲間たちが徐々に追い詰められていく、というストーリーである。

 この映画は、ゾンビ映画のひとつの完成形と言っていいのではないか。例えば、仲間が感染して、それへの対処(生かすか。殺すか)という究極の選択を求められるといった現代ゾンビ映画のお約束が綺麗な形で提示されている。また全2作と比べても終わり方が圧倒的に良いということもこの映画の長所のひとつだろう。