『アドベンチャー・タイム』
岡田斗司夫のお気に入りアニメだという『アドベンチャー・タイム』の動画を見たのだが、これが面白くなかった。岡田によると、日本のアニメはアメリカにすでに追い越されてしまっていて、このアニメがその証拠ということなのだが、このアニメで岡田の話に説得されるという人はまずいない。
『アドベンチャー・タイム』はカートゥーン・ネットワークの公式チャンネルで公開されているので、定期的に挿入される広告さえ我慢すれば、誰でも視聴できる。
アドベンチャー・タイム_1番(#1-1):恐怖のパジャマパーティー - YouTube
『アドベンチャー・タイム』はコメディアニメにも拘わらず、ギャグが笑えないという点が自分にとって致命的だ。ギャグの方向性としては、モンティ・パイソンのセンスに近いところがあると思う。つまりドリフのような身体的・直感的な笑いではなく、言語的・間接的な笑いに近い。だけど、モンティ・パイソンほど、突き放した感じではないので、なんだかギャグをいちいち説明されているような気持ちになるので冷める。
そういうことでYouTubeのコメント欄では、このアニメがカオスで、狂っているという感想が多く見られるが自分には全くそうは思えない。非常に理にかなった、そして考えようによっては説教臭いアニメに見える。『シンプソンズ』や『サウスパーク』をもっと大衆向けにアレンジしたような印象を受ける。
また日本の不条理ギャグアニメと比較しても、本作が特別に優れているということは無い。例えば『ボーボボ―』や『カブトボーグ』『チャージマン研』と比較しても、『アドベンチャー・タイム』はずっと穏健で、飲み込みやすい作りになっている。つまり『アドベンチャー・タイム』というのは、刺さりそうな骨を、可能な限り取り除いた不条理アニメである。
このアニメの一番の長所は他の不条理アニメと比較して、演出面において非常に洗練されている、ということだ。動き自体はストーリーアニメほど多くは無いのだが
、細かい部分が、いわゆるぬるぬる動くので、見ごたえがある。
そういう訳で『アドベンチャー・タイム』はつまらない、というよりある種の文脈を踏まえている人間にとっては、周回遅れにさえ見える作風のアニメである。