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映画『SILENT HILL』―アメリカ大衆向け映画の限界

 映画『SILENT HILL』はもちろんあのゲームソフトの映画化作品である。前々から名前は聞いていたのだが、今の今まで見ずにいた。それをたまたま昨日見たのだが、ちょっとがっかり、というのが正直な感想である。

 とはいえ良いところは数多くあって、冒頭のガソリンスタンドの光の感じもなぜか全く違う作風の『シェルブールの雨傘』のラストを思い起こさせるほどに良く、それ以外に関しても、総じてビジュアル面での出来は良かった。

 しかし多くのアメリカ製エンターテイメント映画の脚本がそうであるように、この映画もアメリカの下層階級に向けて作っているようなところがあり、表現の複雑さとは対照的にシンプルすぎるメッセージを発していてそこが個人的には残念だった。

 具体的には、宗教より理性、集団主義より個人主義、そして何より家族が大事というアメリカにおいて絶対に揺るがないイデオロギーが基盤にあり、アメリカのマジョリティさえ満足させればよいという作りになっているところが、この映画の限界に思えた。

 原作のSILENT HILL』にはもっと複雑なメッセージがあって、そのために、あの奇抜なモンスターが襲ってくるわけで、単に『邪悪vs正義』の構図を作りたいのであれば、もっと分かりやすいキリスト教的な悪魔の化身を登場させれば良いのではないかと思ってしまった。

 これまでいくつもホラー映画を見てきたが、基本的にアメリカのカトリックの価値観に沿って作られたホラーは面白くない、と結論付けてしまって良いと思う。

 

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