ガンダムに似てしまったJ・Jの新スターウォーズ

 

スター・ウォーズ フォースの覚醒 レイのサバイバル日記

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 この映画を見た多くの人が感じたことだろうけど、今回の「スターウォーズ」は「ガンダム」に似てしまっている。というのも物語を構成している要素がことごとくガンダムシリーズで見たことがあるものばかりなのである。例えばレジスタンス運動に身を投じた兵士が兵器に乗り込む「こいつ動くぞ」的な展開もあるし、もちろん全シリーズに続いて父と子の確執もある。また惑星ぐらいの大きさの巨大なレーザー砲で、一方の戦力を一掃するというシーンもある。とにかく新スターウォーズのストーリーはガンダムにそっくりなのである。

  でも、ここまで聞いてそんなの当たり前じゃないかと思う人もいるだろう。そもそもガンダムの側がスターウォーズの設定をいろいろ流用したのだから似ているのは当たり前じゃないか、ということだ。おそらくその指摘は正しい。ガンダムビームサーベルなどスターウォーズの要素をいろいろ取り込んでいるのは間違いない。だから設定が似ていることは否定しようがない。ただ物語という点で両者には決定的な違いがあって、そのためにガンダムと旧スターウォーズは設定は類似していても、ほとんど比較されることはなかったのだと思う。その物語やテーマ性の違いが一体何に由来するのかというと、おそらくはジョージ・ルーカス富野由悠季という2つの作品の監督の作家性に原因があるのではないか。

 思うに、ルーカスというのは脚本家としてかなり偏った個性を持っている。スターウォーズでは親子の確執やダークサイドというテーマを執拗に描かれていた。おそらくこれがルーカスの作家性なのだと思う。一方でガンダムの監督である富野は、強烈な個性を持った人物を登場させることで有名だが、特定のテーマにこだわる事無く、様々なメッセージを持ったストーリーを作り出している。つまりルーカスというのは言わばアーティストであり、富野はどんな仕事もこなす職人だったのである。だから、両者のつくる作品は表面上似ていても、深い部分ではまったく異なっていた。

 しかし、監督がルーカスからJ・J・エイブラムスに変わったことで、もはや両者の物語に関する明確な違いが無くなってしまった。そういうことで今回のスターウォーズガンダムの物語は至極似てしまっている。これはもちろん製作者がパクったなどということは無くて、純粋に多くの人に受け入れられるストーリーを考えた結果、そうなったのだと思う。だとしたら本当にすごいのは富野由悠季なのであろう。

 

教えてください。富野です

教えてください。富野です