リング0バースデイについての覚書
作品の構成
- いわゆるジャパニーズ・ホラーの延長上にある作品ではない。
- 日本映画の延長上にある作品でもない。
- 複数の映画が組み合わさっている。
- たぶん洋画ホラー的な演出が混ざっている。
- エクソシストとかダリオ・アルジェント作品に近いものを感じる。
- ホラー的な演出は少なめ。
- 内容的には違うけど脚本の構造は『イングロリアス・バスターズ』に近いのではないか。
田中好子
- 主役の仲間由紀恵を完全に食っている。
- 画面に登場しただけで空気が変わる。
- 田中好子だけ世界観(演出)が違う。
- ヒットマンあるはアサシン的存在。
- 脚本上、田中好子のストーリーライン?が別に一本存在する。
貞子=仲間由紀恵
- 単純ではない二重人格的設定
- 他の人格が支配している時の記憶がないというのはベタだが便利。
- 自分が望まないことを自分の守護霊的存在がやってしまう。
- その結果他人から恨まれる、ということのドラマ性。
- 二重人格の別の人格は別の場所に存在している。
貞子=ルーシー(エルフェンリート)
二重人格で、メインの人格がサブの人格をコントロールできない、かつサブの人格が超人的な能力を使える、というのはまんま『エルフェンリート』のルーシー=みゅうと同じで、どちらかがパクったとまでは言えないものの、かなりありがちな設定なのかもしれない。
エルフェンリート 全12巻 完結セット (ヤングジャンプコミックス)
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でも清楚な美少女のもう一つの顔が凶悪な殺人気であるという設定がかなり魅力的なことに変わりは無い。まずその少女は罪の意識に苛まれるだろうし、少女のことが好きになった男には必然的に恋心と恐怖の葛藤が生まれる。あるいは自分の愛する肉親を奪った殺人犯の正体がその少女の別の顔だったとしても、その男は愛を貫くことができるだろうか、といったストーリーもおもしろい。
問題は主人公の性格が、単に清楚な美少女が二重人格で、本人がそのことに気付かず、また別の顔がエスパーの凶悪殺人鬼だったとしても、それだけでストーリーがおもしろくなるわけではないということだ。その点は『リング0』の場合も『エルフェンリート』の場合も同じで、主人公の背景に魅力的で説得力のあるストーリーが必要となる。主人公の設定をマネするにしても背景だけはオリジナルで魅力あるものを作らなければならないのだろう。
貞子=キャリー?
貞子に一番近いのはデ・パルマの『キャリー』かもしれない。貞子は二重人格のキャリーと考えるのが最もピッタリくる。だけどキャリーの主人公の設定には貞子ほど魅力を感じない。自分が『キャリー』の内容を半分以上忘れていることが原因かもしれないが。あと『キャリー』は女同士のいじめとか生理とかを扱っていることも苦手な原因の一つだ。でもいい機会だから見直してみるのもいいかもしれない。デ・パルマは嫌いじゃないから。