人がいない場合でも水が流れることがあります

奇妙な言い回しである。清潔さを保つために一定の間隔で水を流す、ということを伝えたいのであれば、単に「定期的に水が流れるような仕様になっています」などと、書けばいいのに。「人がいない場合~」という言い方には、水が流れるタイミングについて使用者の側に何らかの誤解があることを指摘するニュアンスが感じとられる。

 

何の話かと言えば、トイレの話である。それも男性用小便器の上部についているシールの話なので、女性の多くは知らないかもしれない。それも自動的に水が流れる機能を持つ一部のメーカー製の製品にしかついていないので、この表示を見たことがある人は男性の中でも限られる。

 

この件に関して、メーカー(TOTO?)に追求しているバラエティ番組を以前深夜に見た。その番組である芸人がメーカーの担当者に聞いていたのは「メーカーは幽霊の存在を信じているから、あるいは信じていないから、このような文章を掲示するに至ったのか」ということ。

 

この質問に対してメーカー側の担当者はまったく芸人の意図に沿った説明はしなかった。定期的に水が流れることの理由を簡潔に述べただけで、幽霊が存在する、しないといったことに対する表明は避けたのである。考えてみれば、当たり前のことだ。メーカー側で心霊現象の存在を肯定したり、否定したりすることのメリットはどこにもない。

 

しかし、この答え方では私は納得できなかったし、この番組を見た多くの視聴者も納得できなかったであろう。「人がいない場合でも水が流れることがあります」という言い回しにある違和感は、メーカー側の「心霊現象を信じる人々への配慮」で説明することが最も妥当なように思える。

 

そういう意味でこのバラエティ番組の芸人の質問は的を射ている。実際に、この商品を開発する過程でそういう利用者の意見があると想定したのかもしれないし、実際にその手のクレーム(?)が寄せられたことが、このシールのきっかけになったのかもしれない。