さよなら歌舞伎町②

 ひたすら安藤サクラの存在に賭けた『百円の恋』に比べれば、『さよなら歌舞伎町』の方がはるかに語るべきことが多い。たとえば染谷将太という俳優は一体なんなのだろうか。どの映画でも染谷将太染谷将太でしかない、という点では染谷将太役所広司に近い気がする。しかし役所広司が自分の存在感を消したくても消せないのに対し、染谷将太はどんなに派手な演技をしても、映画のなかにすっぽりと収まってしまう。