『ソドムの市』は現代の価値観からするとそんなに衝撃作じゃない…

 うーん、問題作ということで期待しすぎたところもあるけど、正直言ってもの足りなかった。AVとか暴力性の高い映画を見慣れている現代人にとっての衝撃度は薄い。唯一きつかったのはスカトロのシーンで、あれだけはまともに見ることができなかった。

 加えて、男色の側面が強すぎるのも良くない。監督の趣味を反映しているのだろうけど、異性愛へのカウンターとして男性同士の性愛のみを強調するのはどこか面白みに欠けた。異性愛レズビアンもゲイと同価値なものとして描いてほしかった。

 当時のイタリアの規範を基準にして、インモラルなものが描かれている。だけど今ではそういった表現はメディアに氾濫しすぎていて、なんら意外性がない。同じ監督であれば、目立った性表現の無い『テオレマ』のほうが、むしろ観終わった後の衝撃度という点では勝っていたという気がする。