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情報デフレ時代の情報の価値―文系が文系として生き残る方法について①理論の効用

文系の大学に進学することの価値が問われて久しい。情報化の時代、単に多くの情報をもっているだけでは、ほとんど意味がなくなった。現代はまさに情報のデフレ状態にある。そんな情報デフレの時代に、文系が文系として生き残るために必要な能力は、あふれる情報のなかから特定の要素を、特定の規則にもとづいて選択すること、そして関係づけることである。特定の規則というのは、いわば理論のことだ。社会科学には数多くの理論が存在する。例えば経済学では、ケインズ有効需要の原理やマルクスの労働価値説、ゲーム理論がそれにあたる。社会学であれば、交換理論やエスノメスドロジー、そして社会システム理論などがある。また心理学や社会人類学にも、フロイトレヴィ・ストロースなど、社会科学全体に多大な影響を及ぼした理論家いる。こういった複数の理論をいかに組み合わせるかによって、その人物の価値が問われることになる。勘違いしてはならないのは、理論を知っているだけではまったく十分でないということだ。その理論を実際に認識の道具として使えることが肝要で、さらには複数の理論を組み合わせるだけの応用性が求められる。これができる人間は、文系のなかでもごく一握りだ。情報に文脈を与え、複数の文脈を組み合わせることで、初めて情報に価値が生まれる。文系が文系として生き残る道は、ほとんどこれだけだ。