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「秩序問題(仮)」論文草稿

パワポでまとめたことを文章化したもの。

 

 進化生物学は社会科学の幅広い分野に大きな影響を与えた。経済学、心理学、社会学などはその影響を受けた学問の一部である。それぞれの学問は、進化生物学の概念を独自の形で取り入れ、それまでになかった新たな分野を切り開いた。それは経済学では行動経済学や実験経済学、心理学では行動心理学や認知心理学、社会学では進化概念を取り入れた社会システム論などである。これら各分野によって切り開かれた領域は、一定の成果をあげ、秩序問題に新たな方向から光を当てるのに貢献した。

 

 経済学は、ゲーム理論に進化概念を取り入れることで、社会契約や規範といった概念を用いなくても、個人の利他的な行動が正当化できることを証明した。心理学のにおいては、進化概念によって心のモデルの刷新が図られた。それまでの社会科学では経験主義的な心のモデル(=タブラ・ラサ)が主流であったが、生物学的概念の導入によって生得的な心のモデルが見直されることになった。社会学において、進化概念はルーマンの社会システム理論に導入された。それまでの社会システム理論では、構造の変化をうまく記述できていなかったが、ルーマンが進化概念を取り入れたことで、システムの環境への適応という形で構造の変化を記述できるようになった。

 

 ではこれらの知見が可能にした秩序問題への新たなプローチとは一体どのようなものか。山岸俊男の『安心社会から信頼社会へ』を読み解きながら確認していきたい。