社会学の初歩をどう学ぶか

社会学を本格的に学び始めたとき、最初に扱った

社会科学の学者がヴェブレンだった。

 

いまから考えると、そのチョイスにかなり疑問を感じる。

ソースティン・ヴェブレンはアメリカの経済学者で

制度派経済学の創始者とも言われる。

 

ヴェブレンの言っていることは、マルクスの上部構造、下部構造

といった構図に真向から反対するもので、加えてルーマン的な

システム(制度)の進化と言った概念をも先取りしていた。

 

しかし社会学を本格的に学ぼうとしている時期に、ヴェブレン

の著作を読んでも、その発想の斬新さは理解できない。

私を含めて、その場にいたほとんどの学生は

「顕示的消費」といった概念の重要性を分かっていなかった。

 

「顕示的消費」というのは、今日におけるマーケティングやブランド戦略

につながる極めて重要な概念である。

それをなんとヴェブレンは100年以上前に発明していたのである。

 

しかし、文化が経済を規定する、文化が制度にとっての環境となり制度を

変化させるといった考え方は、それだけ学んでもあまり意味がない。

それは経済や政治が人間の世界全般を支配しているという常識的発想

の対抗概念として初めて重要な意味を持つ。

 

社会学を学んで間もない学生は、そのような社会科学の基盤となるような

思想が身についていないことも多い。だからヴェブレンというチョイスは

間違いだったのではないかと私は考える。

 

社会学を学ぶ上では、段階を踏むことが大事なんじゃないかって話。